デザインとこだわり展

- おしばなし文庫 -

【プロフィール】

 

花澤 啓太

(ハナザワ ケイタ)

プロダクトデザイナー

 

http://mag-labo.net/

【大きなこだわり】
 

この製品は「おしばなし文庫」と言って、子どもの頃の大切な思い出を本棚にしまっておけるようにデザインした桐箱です。箱のサイズが不揃いだとしまいにくいことや、箱に大切にしまっておきながらまたその箱を引き出しや押入れにしまうという二重行動を解消したいと考えました。

こだわりは「しまいながら飾る」というところです。しまうというのは綺麗な言葉ですが、場合によってはとても残酷。そこから見て見ぬふりだったり忘れてしまったり、ということも少なくありませんから。

好きな本を本棚に入れているのは、背表紙を飾っているのだと思います。子どもの頃の思い出が文庫になって、しまいながら飾れたら素敵だなと、我ながらポエティックなことを想像しながら描いたのを今でもよく思い出します。




【小さなこだわり】
 

一緒に作ってくれたメーカーさんの開発オーダーは「名入れができる乳歯入れ」でした。乳歯入れというのは割と売れているようなのですが、なかなかマイナーなアイテム。全くピンと来ません。何度かスルーしました。

再三のオーダーに重い腰を上げたのですが、ここからがデザイナーの厄介どころ。

デザイナーとは、おそらくですが「自身のこだわり」とだけ戦っている訳ではありません。むしろ「モラル」というべきか。クライアントの性格やその素材・技術・問題はもちろん、その先にいるであろうユーザーとその周辺環境、デザイン論と呼ばれる正義の学問と、それに反する甘い汁のような時流。

私なんかは小さいもんで、そこに「周りからよく見られたい自分」なども重なって、大体スタートは八方塞がりの状態です。

この商品の時は「乳歯ケース?」「必要なの?」など商品に対するそもそもの疑問や「乳歯ケースなるものを雑貨店で見たことない」と言う流通の疑問がまずは重くのしかかりまして、私を深い闇まで連れていきました。

「おしゃれじゃないでしょ」「楽しくないでしょ」

 

そんな中で最初の光。

「いやいや、思い出としては乳歯より取っておきたいものあるでしょ」

へその緒とか、手紙とか、どんぐりとか。記念らしいものから日常の記憶まで。

 

「どうせ取っておいても、それをしまい込んじゃうんでしょ」

本型にすれば、本棚に飾れるかも。本棚的な棚は少なからず家庭にあるか。

 

という、まあ光とも言えないような光なんですが、ひとまず繋いでいきます。

 

「で、本に見えるようにレーザー加飾したら、デザイン的にどうなの?」

この商品をデザインした時の私のこだわりはココです。

もともとそんなに加飾・装飾するのは好きではありませんし、得意でもありません。むしろ出来れば避けたいし、それでもしっかり伝わるようにデザインをしたいと思っています。

ですがこの時ばかりは「背表紙があるから本は楽しい」という感覚が、普段私が絶対に行わないようなタイトルや装飾をレーザー加工するデザインを「良」とさせたんです。

私のデザイン的「モラルハザード」を犯してしまった製品ではあるのですが、同時に一番私らしい製品になっているようで、不思議なものですね。

こんな葛藤は誰も知らんでしょと思うので、今回出展をさせていただきました。

【主催者よりコメント】
coming soon ...

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